はじめに

インボイス制度のはじまり

2023年10月1日から始まった「インボイス制度」ですが、制度への不満やそれに対する様々な意見のぶつかり合いで、なにかと話題になっていますね。

制度開始前に何かと話題になっている・・・ように見えますが、実は「インボイス制度」は、消費税法が成立された1988年の時にはすでに導入しようという話があったのです。

国税庁インボイス制度の概要から引用

当時は、「消費税導入」自体がまだまだ混乱の元であったし、その上「インボイス制度」まで始めてしまうのは、さらなるパニックを引き起こす・・・という流れからインボイスの導入は見送ってきたわけです。

ガイドマン
1989年3月31日は、「消費税導入前最後の日」で、飲食店なんかは最後の大安売りを提供してくれたなんてニュースもたくさんありましたよね。

しかし、前述のとおり消費税の導入だけでも混乱をきたす可能性があったために、大企業から個人事業主に至るまで、すべての事業者を消費税の課税事業者とはしませんでした。

それが、「課税事業者」と「免税事業者」の区分けとなります。

インボイスでよく聞く「課税事業者」と「免税事業者」って何?

2023年10月1日から、消費税の仕入税額控除の要件が厳格化され、適格請求書(インボイス)の交付が必須となりました。 このインボイス制度において、「課税事業者」と「免税事業者」は、適格請求書を発行する ...

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そして、この課税と免税の両業者の間で取引された際に生まれる「消費税額の差」をなくすために、とうとう始まったのが今回の「インボイス制度」となるのです。

なぜ、このタイミング?

「インボイス制度」の構想から30年あまりが経過し、「なぜこのタイミングで?」と思う方もいるでしょう。

前回、2019年に消費税が「8%」から「10%」へと上がった際に、購入する商品によって税率に違いがありました。

どの商品にどの税率が適用されたのか分かりづらくて計算しづらい・・・。

そこで、今回きちんと『インボイスをやろう』となったわけです。

「インボイスの導入」が前々からの既定路線だったとは言え、政府は「8」と「10」の2つの消費税率を決定して混乱の元を作り、「コロナ禍」を乗り越えて”さぁ、またこれから”という人たちを尻目に、まさに外れたタイミングで「インボイス制度」を導入したわけです。

ガイドマン
まさに、税率を一切変えない増税ですね。

「インボイスは消費税がきちんと浸透するまでは据え置き」として政府も今まで大目に見てくれていたわけですから、導入自体はしょうがないと思うのですが、中小企業への事前の周知や支援制度などは不足していて、申請期限が当初の2023年3月いっぱいから、同年の9月まで延長されただけでした。

そのため、政府の対応は「マイナンバー制度」と同様に「国民感情を置き去りにした独りよがりなもの」として、”突然言い出した”かのように捉えられてしまったわけです。

始まってしまったものはしょうがない

インボイス制度が導入され、既に登録した事業者の方も大勢いらっしゃると思います。

当サイトでは、『免税事業者のままを選択した』、もしくは『嫌々登録した』と分かれ道の多い小規模事業者様を対象に記載していますが、インボイス自体は大企業にもそしてサラリーマンの方でも少なからず影響のある分野になります。

法律が影響する場面も多々ありますので、現在顧問契約を結んでいる税理士がいれば「書類の書き方」、「書類の保存方法・保存年数」、「経費の可・不可の判断」等相談しながら進めていきましょう。

顧問契約を結んでいる士業関係の方がいない場合は、所轄の税務署にも相談できますが、年商が1千万円前後ある小規模事業者様であれば、これを機に顧問契約を結んだ方がいいかもしれません。

インボイスも絡んだ決算書類の作成など、お任せできると体力的にも時間的にも非常に楽になります。

おそらく、今後インボイス制度が中止になったりはしないので、末永く向き合うための対策を早めに講じておきましょう。

-はじめに