インボイスの豆知識

適格簡易請求書

インボイス制度が始まってからは、仕入先や業務委託先から「適格請求書(インボイス)」をもらえないと、この取引で支払う消費税に対して「仕入税額控除」が適用できません。

しかし、不特定多数のお客様を相手に商売をしている一部の業種では、「適格請求書」の交付が困難な場合も出てくるため、その際には代替として「適格簡易請求書」の交付が認められています。

不特定多数のお客様を相手に商売する業者とは?

サービスの提供や飲食を含む物品を販売する際に、相手方の氏名又は名称等を確認せず、金額や内容をあらかじめ提示して相手方を問わずに広くサービスや物品を提供できる業種
ガイドマン
「適格簡易請求書」は「簡易インボイス」とも言われます。

簡易インボイスが認められている事業

  • 小売
  • 飲食店
  • 写真
  • 旅行
  • タクシー
  • 駐車場

スポンサーリンク

スポンサーリンク

上の業種の事業主や経営者でまだ免税事業者の場合

上に挙げた業種を経営している場合は、「適格簡易請求書」を発行できるように、まずは「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、その後で「適格請求書が発行できる」ようになるため、インボイスに登録をします。

2029年9月30日までは・・

インボイスの登録日が2029年9月30日までの課税期間中であれば、インボイス登録だけで「消費税課税事業者選択届出書」も提出したとみなされます。

「適格請求書発行事業者」でなければ、「適格簡易請求書」を発行できないので注意が必要です。

つまり、免税事業者のままでいくのであれば、「適格請求書」、「適格簡易請求書」とも発行できないのです。

上の業種から商品の購入やサービスの提供を受ける場合

上に挙げた業種で品物を購入したり、サービスの提供を受けた場合は、「適格請求書」ではなく、「適格簡易請求書」でも経費として認められます。

「適格簡易請求書」とは、レシートや領収書など「購入した会社名」や「金額」などが載っている用紙で、請求書や納品書の類との違いは『宛名が記載されている必要がない』点です。

宛名など記入項目が多少簡易化される「適格簡易請求書」ですが、次の事項は記載されていなければなりません。

  • 適格請求書発行事業者の氏名(お店の名前や会社名など)
  • 適格請求書発行事業者の登録番号
  • 取引年月日
  • 取引(商品名など)の内容(軽減税率の対象である場合は、その旨)
  • 合計金額
  • 税率ごとの取引金額
  • 税率ごとの消費税額または適用税率(併記可)

以下は、国税庁が公開している一例になります。


国税庁「インボイス制度の手引き」より

課税事業者のお店などで商品を購入した際にもらうレシートには、これらの情報が記載されたレシートを渡してくれています。

逆に言えば、これらの記載すべき内容が記載されていない場合は、レシートとしては認められない(経費として扱えない)と言う意味になるわけです。

「適格簡易請求書」の保存期間

「適格簡易請求書」は、発行側(お店など)・受け取った側(消費者など)とも以下の期間で保存しておく必要があります。

交付した日の属する課税期間の末日の翌日から、2ヶ月を経過した日から7年間

ん~、、、なんのこっちゃ?と言う感じではないでしょうか。

お役所言葉はやっぱりよく分からないですね。

「課税期間」という単語はよく出てきますので、ここでも書いておきましょう。

課税期間 個人 法人
消費税の確定申告の対象となる期間 1月1日~12月31日 事業年度

つまりは、個人・法人で違いはあれど1年間の事業年度を指します。

例を挙げると・・・

2024年4月1日から2025年3月31日までが事業年度となっている法人であれば、4月1日に発行した「適格簡易請求書」は、2025年6月1日の7年後である2032年6月1日まで(8年2カ月)保存しておきます。
同じ期間の12月1日に発行した「適格簡易請求書」も2032年6月1日まで保存しますが、その期間は約7年半になります。

まとめ適格簡易請求書

「適格簡易請求書」を発行できる事業者との取引では、必要事項が記載されたレシートや領収書などで経費計算ができます。

もし、レシートや領収書などの「適格請求書」を紛失したりもらい忘れたりしたら、再発行をしてもらいましょう。

「適格簡易請求書」の保存期間は、少々分かりづらいですが、7年2カ月から最大でも8年2カ月ほど保存しておく必要があります。

レシートを発行した側(販売側)は、「レシート」のコピーを保存して管理しておきましょう。

-インボイスの豆知識