2023年10月1日から、消費税の仕入税額控除の要件が厳格化され、適格請求書(インボイス)の交付が必須となりました。
このインボイス制度において、「課税事業者」と「免税事業者」は、適格請求書を発行するかどうかの違いで、大きく区別されます。
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課税事業者
「課税事業者」は、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える事業者で、適格請求書を発行し保存する必要があります。
また、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合は、翌期から課税事業者となります。
免税事業者には戻れない?
インボイス登録後に「課税事業者」となり、売上が順調に伸びても、毎期『売り上げが絶好調!』とはいかない可能性もあります。
仮に、課税売上高が1,000万円以下になったからと言って、免税事業者に自動的に切り替わるわけではありません。
少なくなった売上の中から消費税の支払いを捻出する必要があります。
インボイスの取り消しはできる?
インボイス登録後、『やはり免税事業者に戻りたい・・』と思ったら、所轄の税務署に「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出します。
次の課税期間の初日からインボイスの登録事業者から外れ、免税事業者に戻れます。
![](https://invoice.officeonemanage.work/wp-content/uploads/2023/10/guidman1.png)
ここでも、「課税期間」についてお話しておきましょう。
「課税期間」とは、いわゆる事業年度を指します。
概要 | 個人 | 法人 |
---|---|---|
消費税の確定申告の対象となる期間 | 1月1日~12月31日 | 事業年度 |
つまり、「4月1日から3月31日まで」が事業年度の事業者は、4月1日から3月1日までに提出すれば、1カ月後の4月1日から免税事業者に戻れます。
個人事業主の場合は、1月1日から12月1日までに提出すれば、1カ月後の1月1日から免税事業者に戻れるというわけです。
免税事業者
免税事業者は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下である事業者で、適格請求書を発行する必要がなく保存も不要です。
また、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であった場合、翌期も免税事業者となります。
インボイスの発行ができない免税事業者
免税事業者であっても、以下の要件を満たす場合は、適格請求書を発行できます。
- 基準期間の課税売上高が1,000万円を超える課税事業者から課税仕入れを行う場合
- 課税事業者から課税仕入れを行う場合で、その課税事業者から適格請求書の交付を受けている場合
取引に影響は?
取引先が以下のような事業者であれば、「免税事業者」のままでも大きな影響を受けないと考えられます。
※以下のリストでは、「商品の販売先」「サービスの提供先」「物品の売上先」等の対象事業者を「販売先」と記します
- 販売先が消費者(エンドユーザー)の場合
- 販売先が簡易課税制度を適用している場合
- 販売先が「消費税が非課税のサービスや物品など」を販売している場合
課税事業者に変更した場合の納税義務
「免税事業者」から「課税事業者」へと変更する場合、なるべく課税期間の初日から適用するように調整しましょう。
先ほどもありましたが「課税期間」とは、法人の場合「事業年度」、個人の場合は「1月1日~12月31日まで」となります。
事業年度の途中から「納税」の計算を行うのは、処理が煩雑になるので注意が必要です。
インボイス制度における課税事業者と免税事業者の違い
インボイス制度において、課税事業者と免税事業者には、以下の違いがあります。
項目 | 課税事業者 | 免税事業者 |
---|---|---|
適格請求書の発行 | 必要 | 不要 |
適格請求書の保存 | 必要 | 不要 |
消費税の申告 | 必要 | 必要(基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合) |
仕入税額控除 | 可能 | 一部の場合に可能 |
インボイス制度における課税事業者と免税事業者のメリット・デメリット
インボイス制度において、課税事業者と免税事業者には、以下のメリット・デメリットがあります。
項目 | 課税事業者 | 免税事業者 |
---|---|---|
メリット | 仕入税額控除が利用でき、消費税の負担が軽減される | 取引先が課税事業者の場合、仕入税額控除が受けられない可能性がある |
デメリット | 消費税の申告・納付が必要 | 消費税の申告・納付が不要 |
まとめ課税事業者と免税事業者
インボイス制度において、「課税事業者」と「免税事業者」は、適格請求書の発行・保存の有無で大きく区別されます。
それぞれメリット・デメリットがある上に、インボイス登録で「課税事業者」になった後は、届け出を出さなければ免税事業者には戻れません。
ご自分のビジネスの取引先によっては、焦って「課税事業者」となる必要のない場合もありますので、熟考した上でインボイスへ登録しましょう。